『鏡山競艶録』

今日のフィルム・センターのもう1本は、1938年新興キネマ京都作品の『鏡山競艶録』。新興キネマは、松竹の傍系会社で、系列的に言えば、現在の東映京都撮影所になる。

追悼者は、森静子。ここでは、正義の味方尾上に仕える忠義な腰元を演じている。
悪の権化の岩藤は鈴木澄子。
戦前、化け猫女優で有名だった人で、ここでも大変な色気と迫力。
話は、言うまでもなく歌舞伎の「鏡山」で、元は加賀騒動である。
お城の次女の姫様として、当時18歳の森光子が出ている。
この映画のスタッフ。キャストで今も生きているのは、森光子ただ一人だろう。
桂文楽ではないが、誠に「長生きも芸のうち」

岩藤が様々に悪巧みを実行し、それを尾上に見破られると逆に尾上を痛めつける居直りぶりがすごい。
草履で尾上を打つ場面がぞっとするほどすごい。

腰元たちが剣術で女同士の戦いをする。
見ていてさすがに興奮する。
これは、戦後に新東宝が得意とした、海女が浜辺で、女プロレスラーがリングで、女子競輪選手が、という具合に組んずほぐれつの格闘をする、エロ場面の源流であろう。
歌舞伎に新東宝の元があるとは気がつかなかった。
文楽作者の才能には全く脱帽する。

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