『如何なる星の下に』

原作は戦前の高見順の小説だが、昭和37年に八住利雄の脚本、豊田四郎の監督で作られた東京映画作品。
おでん屋を母三益愛子とやっている長女が山本富士子、売れない歌手の次女池内淳子、日劇ダンシング・チームのダンサーの三女大空真弓。

原作は浅草のお好み焼き屋「染太郎」だが、ここでは佃島のおでん屋に変え、戦争で手が動かなくなり廃業した元太神楽の芸人で、遊び人の親父が加東大介。
そこに様々な芸人や編集者等が出入りする。
山本の朋輩の日本舞踊の師匠が乙羽信子。

山本富士子が惚れているインテリのPR誌編集長が池部良、別れた夫で詐欺師が森繁久弥。
池内淳子を捨て、池部の元妻の淡路恵子と結婚したいい加減な歌手が植木等。
彼は、最後は大空真弓をだましてものにし、さらに香港に売り飛ばしてしまう。
文芸作品だが、豊田らしい皮肉な笑いもあり、大変面白い作品で、私は大好きで、たまにビデオを見る。
カメラも岡崎宏三で、セットは伊藤喜朔と職人芸の仕事。
原作は、高見順がコロンビア・レコードと染太郎で見聞した芸能界を上手く書いているが、ここでは昭和30年代中頃のテレビが興隆していく時代のショービジネスと風俗をよく描いている。
佃の渡しがまだあり、築地川が埋め立てられる以前で、有楽町をバスが通っているなど、時代の映像としても貴重。
山本富士子や池内淳子の美しさ、森繁の芸の上手さ、植木等のいい加減さ、池部のインテリぶりなど、見所はいくらでもある。

東京国際映画祭で、「映画が見た東京」で、来週の10月23日にル・シネマで上映されるので、時間のある方は是非見てほしい。
絶対に損はない映画である。

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コメント

  1. imapon より:

    お久し振りです
    ちょくちょくお邪魔してます。
    10月23日10時40分ですね。
    スケジュール取れるかな・・・