『蜜の味』

トニー・リチャードソン監督のイギリス・フリー・シネマの1961年の作品。
昔見ていたと思っていたが、見ていなかったので、ビデオを買って見る。
見たと思い込んでいたのは、原作のシーラ・デラニーの戯曲を読んで大感激しているからで、このデラニーが10代で書いた劇は大傑作なのだ。
映画は、ワンセットで総てが行われる戯曲と大分異なり、映画の大部分は外で演じられる。
最後は、戯曲と同じく救いようのない結末だが、主人公ジョーの孤独さが胸に響く。内容はイギリスの下層階級の少女の話で、日本で言えば『キューポラのある町』だが、もっとリアルで美しい。
ジョーを演じた女優リタ・トウシンハムは、1960年代にイギリス映画に出ていた実におかしな顔の女優だが、主人公の悲しさを良く演じている。

監督のトニー・リチャードソンは、女優バーネッサ・レンドグレーブと結婚していたが、カトリーヌ・ドヌーブとも浮名を流し最後はレッドグレーブと離婚したが、この映画でも黒人の船員の子を妊娠してしまった少女をやさしく扱う男に、ホモの少年が出てくる。
トニー・リチャードソンは、最後はエイズで死んだので、この頃からホモ・セクシュアル的傾向があったのだろうか。

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