新人監督映画祭で

先週は、新人監督映画祭でほぼ毎日、秋葉原に通って少々疲れた。
今回は、全部で250本近くの作品が寄せられたとのことで、特に短編と中編は良い作品が多かった。
審査員は、長く篠田正浩監督のところで製作と助監督をやってこられた鯉渕優さん、テレビやゲームのシナリオでご活躍の徳永富彦さん、さらの文筆家のヴィヴィアン・佐藤さんと私。
8時間の議論で、長編、中編、短編のそれぞれのグランプリ、準グランプリを決め、私は最終日の表彰式では、中編作品の表彰を担当した。

グランプリは、樋口幸之助監督の『なれない二人』で、これは漫才になろうとする若者二人の話。
サラリーマンとアルバイトをしながらアマチュアの漫才コンテストに出る二人の2日間のこと。
話の展開があまり早くなく、悪く言えばダラダラしているが、そこが魅力でもある。
私は、かつての藤田敏八監督、そしてサミュエル・ベケットの『ゴドーを待ちながら』を想起した。
最後の懇親会に福田監督が来たので、話を聞くと、藤田やベケットは念頭にないが、昔から山中貞雄が好きだとのこと。
山中貞雄のとぼけた感じとユーモアはかなり受け継いでいるように思えた。

さらに短編のグランプリ『山田』の馬淵有咲監督とも話した。作品は非常に良かったが、「主人公山田が、木場克己のような良い役者が演じたら、もっと良くなっただろう」と言っておく。

短編の『一杯のモヒンガー』の北角裕樹監督とは、舞台となっているミャンマーについていろいろと話した。ミャンマーでも映画が作られ始めているが、当然にも政治、宗教は描けないとのこと。
また、ミャンマーには、タイのモーラムのような語り物の民族芸能があるとのことで、これについてはもっとお聞きしたいことだったが。

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