単純娯楽映画の時代 『華麗なる追跡』

女性アクションスター志穂美悦子の主演映画、1975年東映京都で、監督は鈴木則文。
スポーツカーを運転しているのが志穂美で、諜報機関の長渡辺文雄の命令で、殺された父親浜田寅彦の仇を打つために悪の組織と接触して戦う話。
父が殺された刑務所長が沼田曜一で、すぐにこれが悪だと分かってしまう。
悪のボスは、天津敏で、その片腕の石橋雅史が追悼されている。
志穂美は、二回老婆に化ける演技を見せ、最後では「ある時は・・・」と片岡千恵蔵の「七つの顔の男」のパロディであることを明かす。
監督の鈴木則文や助監督の沢井信一郎らの「遊び」だろうが、演じている志穂美は分かっていないように見えた。
後に『多羅尾坂内』を演じた小林旭は、分かっていたが。
配役は結構豪華で、由利徹らの他、マッハ文朱も出ている。最後は、もちろん、彼女らの活躍で悪が滅びてエンド。

実に適当な作品だが、「この時期はまだ、単純娯楽映画があったのだな」と思う。
非常に失礼になるかもしれないが、1970年代はまだ単純娯楽作品が許されていた時代で、東宝の『若大将』等も実に単純なストーリーだった。
だが、それこそが多くの国民の人気を得たのである。
今は、単純娯楽映画は存在し得ないと思うのだ。

国立映画アーカイブ

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