古代ユダヤ社会は・・・

6月から横浜の朝日カルチャーセンターで、『旧約聖書』を学んでいる。
今週は、『創世記』で、古代ユダヤ社会がわかって非常に面白い。
最初の人間アダムとイブがエデンの園を出るのは、人類が狩猟採集社会から、次の農耕社会に移行したことを示すものである。
エデンの園は、果実の成る豊かな場所で、人は働かずに果実等を採集して生きていたのだ。
だが、蛇の甘言でイブが知恵の木の実を食べてしまい、アダムとイブの人間は楽園を追放される。
そして、夫妻が作った子のアベルは、羊を飼い、カインは土を耕す。
これは、農業と牧畜の始まりを象徴するもので、どちらも数万年前に、ヨルダンやパレスチナあたりで始められたようだ。
農業と牧畜は、現在のように別の部族ではなく、同じ人間たちが春から秋は農耕をするが、秋から冬は牧畜になるといったものだったようだ。
そして、驚くのは、この「カインとアベル」でも、他の挿話でも『兄弟殺し』が頻発していることだ。

そこで終了後に、講師の鈴木佳秀先生に質問する。
「古代ユダヤ社会は、父系制だったのか、母系制だったのか」と。
源頼朝と義経の争いに象徴されるように「母系制」なら、兄弟でも別の母親の家で育つので、兄弟姉妹でも争うことは別に変ではないからだ。
日本でも、母系制は近代までは民衆の社会では普通で、歌舞伎の「八百屋お七」も「髪結い新三」も、婿取り故の悲劇である。
江戸時代の商家では、娘に優秀な番頭を婿としてとるのが習慣で、男がいても別の商家に婿にやって人脈を増やすといったことをやっていた。

先生のお答えは、「それはよくわからないが、聖書では女性の力は強く、またバビロン捕囚以後のユダヤ社会の伝統を伝えたのは女性で、母系制だったはずだ。ただそれは次第に書き換えられてきたというのが聖書の歴史だろう」とのことだった。

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