『大空戦・ゼロファイター』

『日本沈没』『八甲田山』など、その後は空虚な大作映画監督になってしまう森谷司郎監督の1966年の監督デビュー作。

太平洋戦争中の南の島に、若い隊長加山雄三が赴任してくる。
そこのゼロ戦乗りは、佐藤充以下すべて荒くれ者。
「孤立した島に若い隊長が来て」という戦争劇は、良くある。
特に戦闘機ものと言えば、日活の石原裕次郎主演の『零戦黒雲一家』がある。
舛田利雄作品では、唯一の女優として渡辺美佐子が出てくるが、森谷作品では、女性は一人も出てこない。その意味では、珍しい作品である。

最後に、加山の意外な前歴が分かるなど、長年黒澤明、成瀬巳喜男の助監督を勤めただけあり、デビュー作としては、大変立派な出来になっている。
その後、森谷は内藤洋子主演で『兄貴の恋人』、また芥川賞作品の『赤頭巾ちゃんこんいちは』等の青春映画の名作を撮る。

だが、晩年は前述のとおり、東宝の大作映画の監督にされ、最後は『小説吉田学校』という政界そっくりショー映画で終わったのは、極めて残念だった。
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