交際費の使い方

国会でも問題になっている接待は、これは税法上は交際費として認められている。
資本金や利益によってその枠が決められているが、民間企業では幅広く使用されている。
あるとき、日本の大企業の方に、交際費について聞いて見た。
「営業で使うのですか」と聞くと、
「営業で使うことなんてありません。自分たちで飲んでしまうのです」
その方のお話だと、年間4月に交際費の配布があり、その部署の人間で使ってしまうものだとのことだった。
まるで、一昔前の国の、超勤手当みたいだなと思った。
国のエリート官僚が、毎日夜中まで残業しているのは有名で、一応超過勤務手当も予算化はされている。
だが、到底足りるものではないので、年の4月に各課に、今年の年間の超勤手当として配布されて、みんなでそれを分けるとのことだった。

さて、役所にも交際費はあり、市長は知らないが、議会で議長交際費が実際に使われた現場を見たことがある。
議長交際費で、毎月庶務課長が、報酬日に議長室に入り、現金で渡していた。
ある12月市会で、議員の定数削減条例が出た。名目は、行革、予算削減だが、本当の目的は、共産党とネットをこれ以上増やさないためだった。これには、自民もだが、社会党も賛成だったからだ。
そして、経緯はいろいろあって、揉めた末に正副議長あっせんに任すことになった。
だが、最後の斡旋案は、やや自民には不満のある案だったが、一応上程した。
すると自民が否決してしまい、その日が議会最終日だったので、完全にデッドロックになった。
つまり、自民が出している議長は、二階に上げて梯子を外されたのだから、ひどい話である。

その時、市会事務局のベテランのT議事課長が言った。
「金を使うしかない、議長交際費を配るんです」
すぐに庶務係長が現金を持って議長室に消え、各党の団長を順によんだ。
自民、社会、公明、民社、その他と。
この時は、共産党も受け取ったと記憶している。
金額は知らないが、おそらく一人あたり1万円くらいだったと思う。
そして、すぐに議会が開会され、会期延長を決めて参会した。
週末に主要会派の団長と正副議長が会議して、修正案を議決した。
このとき、T課長の言った言葉が忘れられない。
「人間、最後は金だよ<」

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