一度だけ見た黒澤明

黒澤明については、一度だけ見たことがある。
大学2年の夏、劇団の先輩が就職していた広告代理店でアルバイトをした。
有楽町だったので、昼休み東宝ツインタワービルに食事に行くと、エレベーターから出てくる黒澤明にすれ違った。

大変な長身でサングラスを掛け、左右をボデイー・ガードのような二人の男が固めていた。
1967年夏なので、ちようど『トラ、トラ、トラ』の制作を発表し、シナリオの交渉をアメリカとやっている時期だっただろう。
まだ、黒澤の意気盛んな頃だったわけだ。
そのとき、どこか「孤独な王様」という感じがした。

『黒澤明VSハリウッド』を読んで思うのは、黒澤久雄以下の黒澤一家が、黒澤明に依存して生きていることの異常さである。ひばり一人に依存していた美空ひばり一家と全く同じである。
黒澤プロダクションは、ただの個人商店だった。
こんな状態で、ハリウッドの映画ビジネスに対抗できるわけがない。

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