松井須磨子の『復活唱歌』はなぜ大流行したのか


昨日の朝日新聞のBEに松井須磨子の1914年の『復活唱歌』について書かれていた。
経緯や背景についていろいろと書いてあったが、なぜ彼女のレコードが大々的に売れたかについては、なにも書かれていない。

今では、ネットで彼女の歌は聴くことができる。
はっきり言って、到底上手いとは言えない歌い方であり、「NHKのど自慢」ならまず予選で落選のレベルだろう。
だが、私はこの彼女の下手さこそが、大ヒットの理由だったと思う。
それまでも、日本でも女性が歌舞音曲をすることがなかったわけではなかった。
日本での最初の録音である『ガイズバーグ・レコーディング』にも、芸者衆の『君が代』演奏もあり、非常に奇妙なものだが、結構上手くて感心する。
そのように、この松井須磨子のレコードの前は、そうした歌舞音曲をするのは、芸者をはじめ邦楽の師匠など「玄人の女性」によるものだった。
だから、この松井須磨子の歌が下手だけれども、大ヒットした最大の原因は、「素人の普通の女性が歌ったから」だと思う。
また、日本人は、刺身に見られるように、生の新鮮なものが好きな民族である。
だから、素人くさい須磨子の歌が売れたのだと思う。
そうした「素人くさい芸」を好むのは、現在のAKB48の人気にも通じるものがあると思うのは、言い過ぎだろうか。

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