恵とも子

川崎市民ミュージアムで、テレビの「てなもんや」映画化の最終作『てなもんや幽霊道中』(監督松林宗恵)を見る。
「てなもんや」は、東映で2本映画化された後、東宝で3本作られている。
朝日放送のテレビの映像は1本しかないので、テレビと映画は全く違うが、当時の感じをつかむ上で貴重な映像である。

藤田まことと白木みのるの道中に、お家騒動を絡めたどうということもない娯楽作だが、お姫様として「恵とも子」が出ていた。
恵とも子は、昭和40年代の大アイドルで、ナベプロ系のテレビ番組に多数出ていた。
特にファンでもないが、なぜ彼女のことを書くかといえば、恵とも子は、私が生まれ育った大田区池上にいたからである。
本人を見たことはないが、母親が池上通りで美容院をやっていて、「K美容室」という名で、ファンクラブの看板もあったと思う。
彼女は、日本人の母とアメリカ人の父の間に出来た子で、実に可愛く、内藤洋子をさらに西欧化させたルックスで、大変な人気だった。
東宝の他、末期の日活にも数本出ているはずだ。
ここでは、歌も歌うが、ひどい下手。
当時は、ルックスさえ良ければ、他はどうでも良かったのだ。今のアイドルの歌や演技の上手さから見れば天地の差がある。

だが、彼女は突然マスコミから消えた。
確か、男の問題だったと思う。
今なら、山本モナはともかく、かつて清純派と言われ、その後数々のスキャンダルになった石原真理子のように、現在ならほとぼりが冷めればいつでも復帰できただろう。
当時は、清純派のアイドルが男で問題を起こすなど、許されないことだった。
日本の社会の性的道徳も大きく変化したのである。

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