『ジェームス山の李蘭』

先日の『新・雪国』に続き、また不入り映画を見る。なんともだるい映画。
原作・樋口修吉、脚本・野沢尚、監督・猪崎なんとかというテレビ出身の人だそうだ。

戦後の神戸、日系人でクラブ・オーナー根津甚八の子分東幹久が、ジェームス山の李蘭(名取裕子)と賭博場で会い愛いする。だが、彼女はアメリカの高級軍人の女で、彼らとポーカー賭博をやり彼女を獲得する。最後、原因不明の火事で名取は死んでしまう悲劇。

前半は、戦後の風俗の紹介で終わり、名取を賭けてのゲームのところが唯一のドラマなのだから、辛い。
その後の、名取の裸と東とのベッド・シーンが唯一最大の売り物だが、そこまでに1時間以上かかってしまう。

名取は、大変鈍感で私の趣味ではないが、彼女を最初に見たのは、さだまさしの映画『関白宣言』のときで、「随分とドンな女優だな」と思った。
なにしろ、演技している顔が全て死んでいる。むしろ、挿入されるソフト・ボールをやっているシーンなど、演技していないときの表情のときのが、生き生きとしてきれいだった。

だが、こうした演技をしないときの方が役者の表情が生きているのは、最近の通例で「トーク・ショー」の全盛もその辺に由来しているのだと私は思う。
本当は本末転倒だと思うが。

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