『のぼうの城』

友人に強く薦められたので、オークションで買って読む。
なかなか面白く、よく調べてあるが、これは寓話である。
どこまでが歴史的事実なのかは知らない。
しかし、普段は、ぼおっとしていて「でくのぼう」の「のぼう様」が、実は賢明な「忍城」の城主で、石田三成による城への水攻めを救うと言うのは、寓話としか言えない。
だが、寓話をきちんと成立させることは大変な技が必要なので、作者の力量はたいしたものだ。

ただ、この話は当初シナリオにして城戸賞に応募し受賞されたそうだが、映画化するのはかなり難しい。
なぜなら、主人公の「のぼう」の役者がいるか、である。
今の日本の若手男優で、こうした者がいるだろうか。
中年なら、六平直政が適役だが。

そして、この小説を読んで最初に思い出したのは、福田善之の名作戯曲『真田風雲録』だった。
1960年代に上演され、大ヒットした名作劇で、東映で映画化もされた。
だから、映画化に際しては、『真田風雲録』のようにミュージカルにすれば良いのではないか、と私は思う。

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