『地球にやさしい演劇』

「地球にやさしい」と言うのは一番嫌いな言葉の一つだが、そんな演劇なんてあるか、と言われるだろうが、あるのですね。
所謂、「静かな演劇」から「超リアル芝居」「口語体演劇」である。
これらがなぜ嫌いかと言えば、少しも面白くないからだ。
一体、こんなもののどこが面白いのか、といつも思う。
要は、手抜き、「楽して儲けるスタイル」以外の何物でもない。

あるいは、この種の芝居をする人たちは、余程生活に恵まれた方なのではないか、とも思う。
普通に生活している人間が、日常性とは全く違う場に連れて行ってくれるのが演劇であるはずだ。
それが劇場で、再び日常を見せられるなど、余程の暇人としか言うしかない。
だが、この口語体演劇にも利点はある。
さしてエネルギーも出さず、情熱も傾けず、大して集中もせず、ふらっと台詞を言い、舞台に上がって劇が出来るのだから、地球環境保護的視点に立てば、極めて優れた行為となるだろう。
多分、CO2の排出量は極めて少なくて出来るに違いない。その内、今回の劇で抑制された温室ガス効果は、なになにと表示されるかもしれない。全くばかげたことだが。

だが、本来演劇とは、古代から祭祀が起源であり、その一部である。
祭りに、火や戦い、大音声や衝突があるのは当たり前で、浅草の三社祭りから掛け声をなくし、神輿を失くせと言うバカはいないだろう。
「熱く燃えない芝居など、一体どこに意味があるのか」と昔の演劇青年は思うのであるが、
やはり「古い奴でござんしょうかねぇ」

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