『二十歳の原点』


自意識過剰の女性の作文は嫌いなので、高野悦子の本も読んだことはなく、映画も見なかった。
日本映画専門チャンネルで見る。

栃木県から立命館大に入学した悦子は、大学闘争のリーダー大門正明に憧れるが、彼は闘争の中で姿を消してしまう。
アルバイトのホテルの上司・地井武男を好きになるが、そこでもストライキがあり、対立して上手くいかない。
同じくアルバイトをしていた男富川徹夫も、実は過激な活動家で、彼には強引にセックスされてしまう。
だが、彼が、本当に活動家なのかは、結局分からない。
次第に運動にのめり込んで行くので、役人の父親鈴木瑞穂とは疎遠になる一方。
姉が高林由紀子で、まさに美人姉妹。
最後、様々な世界を独白とイメージでさすらう彼女は、鉄道自殺してしまう。

自殺映画には、川島雄三の名作『花影』がある。
だが、原作の大岡昌平の小説でも主人公の葉子が自殺する理由が不明だが、この凡作でも高野悦子が自殺する理由は、結局よく分からない。あまり自分を見つめすぎない方が良いというしかない。
終わりの方の、悦子の独白で、
「一日目は、あたなと・・・」「二日目は、・・・」「三日目は、・・・」という台詞がある。
これは、吉永小百合・浜田光夫の大ヒット映画『愛と死を見つめて』と同じである。
大島美智子さんの台詞に影響されたのか。もしかすると高野悦子の自殺も、大島美智子さんの病死のように、美しく完結することを願ったゆえなのだろうか。彼女も、写真では結構きれいである。

東京映画で、実際京都に長期ロケして作ったのだそうだ。
監督は、はじめは森谷司郎の予定だったが、彼が忙しくなったので、兄弟分だった大森健次郎に代わったそうだ。大森も、この他『地震列島』などという愚作を作って終わった。
主人公の角ゆり子は、モデル出身で可愛いいが、東宝に数本出てすぐにやめてしまう。だが、1981年になぜか日活ロマンポルノに出る。
まるで、高野悦子が、本来似合わないのに無理して反体制運動に飛び込んだように。
ロマンポルノ10周年記念作品、神代辰巳の名作『嗚呼、女たち猥歌』だが、その後すぐ引退したようだ。

悦子とセックスしてしまう、なぞの活動家の富川徹夫は、このころの東宝青春映画によく出ていたが、他ではあまり見ない。黒テントにいた気もするが、どこにいた役者だったのだろうか。

ところで、題名だが、阿部千代アナウンサーは、「にじゅっさいの原点」と言っていたが、「はたちの原点」ではないのか。原作はどうなのだろうか。

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コメント

  1. joshua より:

    高校の国語教師に…
    「はたち」ではなく「にじっさい」と読むんだ、と習いましたが、実際のところ、著者は亡くなっているので確認のしようがないのではないか、とその時に思いました(藁)。
    阿部知代さんもアナウンサーなら「にじゅっさい」という発音はどうでしょうか? 少なくともNHKなら確実にアウトでしょう。