『太陽の子 てだのふあ』

灰谷健次郎原作の児童文学の映画化で、監督は浦山桐郎、主演は沖縄から神戸に来て精神を病んでいる父親が河原崎長一郎、妻で沖縄料理屋をやっているのは大空真弓、その子で「ふうちゃん」が原田晴美。
その他、石橋正次、殿山泰司らが沖縄出身者として出てくる。

映画としては、浦山の遺作『夢千代日記』のばかばかしさないが、どこか感動できない。
それは、浦山は結局、思想としての社会主義と表現方法としてのリアリズムで、それを全く超えられなかったからだ。
この二つは、21世紀になり、ほとんど無効になったもので、その意味では、破産を見ずに1985年に死んだ浦山は、幸福だったとも言える。

話は、神戸の沖縄料理屋でほとんど行われ、戦争中の沖縄戦の情景のみが、アクションシーンとして展開され、そこには大竹しのぶも出る。

浦山桐郎は、映画史的にいえば、「ロリコン監督」と言えるのではないか。
『キューポラのある町』の吉永小百合、『非行少女』の和泉雅子、『青春の門』の大竹しのぶと。その意味では、この映画の原田晴美は、残念ながら性的魅力に乏しい。

珍しいのは、今は舞台に大活躍の津嘉山正兼が、河原崎の友人としてほんの少し出ていること。
1980年の当時は無名の役者だったが、沖縄出身と言うことで出たのだろう。
この神戸にいた沖縄出身の方たちは、あの阪神淡路大震災では、どうなったのか、気になるところである。
日本映画専門チャンネル

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