森永健次郎作品2本

昨日は、午前、夜と森永健次郎作品を2本見た。
黄金町のシネマ・ジャックでの『怒涛の男・力道山物語』とCSで録画しておいた太宰治特集の『真白き富士の嶺』である。
森永健次郎と言えば、「森永キャラメル、江崎グリコ」と1960年代に日活で言われ、安易な娯楽映画の作り手で有名だった。

だが、この2本を見ると、どちらもスター・システムの娯楽映画だが、大変丁寧に、またきちんと作られていて面白かった。
『力道山』は、九州の大村から百田宗弘少年が相撲に入門して苦労しながら出世し、関脇になるが、相撲をやめプロレスで成功する話。
少年から修行中は、日活の役者武藤章生が演じ、成功してからは、力道山自身が演じる。
武藤は、日活で裕次郎の取り巻きだと思っていたが、この時期から出ていたとは知らなかった。
勿論、力道山は九州出身ではなく、北朝鮮出身であることや、在日であるために横綱にはなれないので、相撲をやめたことも描かれない。
当時、力道山が北朝鮮出身の在日だったことは、決して公にはさせられないことだったのだ。

『真白き富士の嶺』は、太宰治の小説『葉桜と魔笛』を元にした作品で、病気で死んでしまう吉永小百合を思う姉芦川いづみの追憶で、大変よく出来ていて驚いた。
主演作品が少ない芦川だが、『硝子のジョニー・野獣のように見えて』と並ぶ彼女の代表的主演作だろう。

前に、大映の田中重雄がすぐれていることを書いたが、森永も大したものだった。
彼らは、共に旧日活の出身である。
世間では、マキノ雅弘の評価が異常に高い。
確かにマキノはすごいが、マキノばかりではなく、田中、森永等も十分に評価されて良いと思う。

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