レンタル・ブックが増大中

雑誌『出版ニュース』の11月中旬号に、出版物貸与権管理センター専務理事の酒井仁志氏が、レンタル・ブックの現状について書いている。
また言うのは気が引けるが、「著作権法を改正してレンタル・ブックを始めよ」と日本で最初に提唱したのは、実は私なのだ。横浜市中央図書館の担当部長をしていた、平成15年10月のことだ。
当時、本が売れない原因は、漫画喫茶、新古書店、そして図書館の3悪人だとの愚説が広がっていた。
だが、この三つは、よく考えるとすべて本を買わずに借りて読むことである。いくら文句を言ったところで、本や雑誌を借りて読みたいというニーズがあるのは事実であり、要はそれにどう対応するか、なのだ。
そこで、「本を借りて読むことを事業化すれば、問題は解決する」と提唱したのである。そして、著作権法が当時は、本と雑誌には貸与権が働かなくなっていたのを改正し、本と雑誌にも貸与権を適用し、レンタル・ブックがきちんと法制化されたのだ。貸与権は、元々レコードのレンタルから始まったので、法が出来る前から長い歴史があった貸し本業に配慮して、本と雑誌には適用しなかったのである。

そして、徐々にレンタル・ブックは拡大している。大手では、ゲオがコミックでやっている。
酒井氏の報告では、全国では1,611店あるとのこと。本の種類はコミックが多いとのこと。実際、コミックは友人間での「読みまわし」が普通に行われていることから見ても、コミックはレンタルに最も適したジャンルである。
その結果、20年度は、使用料から出版社を通じて著作者に9億9千万円を支払ったそうだ。
これは、今後の出版界の新しい方向性として大いに注目すべきことだと思う。

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