桜の映画

桜が美しく咲いている映画と言えば、先日見た川島雄三の『花影』の青山墓地にとどめをさすのではないか。
鈴木清順ファンは、『けんかえれじい』で高橋英樹と浅野順子が歩くシーンを上げるだろうが、あそこには陶酔はあっても死の匂いはない。
『花影』は、まさに葉子が死ぬ匂いそのものである。

あるいは、篠田正浩が監督した坂口安吾原作の『桜の森の満開の下』もある。
だが、これは一種オカルト映画で、岩下志麻が極妻に変身する前兆を見せた映画でもあった。
ここでのささやかな変身が、後に極妻への居直りになるのだから、誠に女性は恐ろしい生きものというだという教訓映画だった。

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