『西陣心中』

高林陽一がATGで作った1977年の映画、「こんなものも公開していたのか」という愚作。
無理心中で生き残った島村佳恵が、京都の西陣の織元に入り、そこの職人光田昌宏と最高級の西陣製の帯を体に巻きつけて投身心中するというの話。

だが、島村が何を考えているのか、さっぱり分からないのである。
ただ言えるのは、結局淫乱な女にすぎないなのかということになる。
撮影も高林で、映像はきれいだが、全く無意味。

これを見ると、同じATGで作られた心中物でも、増村保造監督の『曽根崎心中』は、格別の高さであることが分かる。
土屋嘉男、山田吾一、成田巳喜男の3人の他、脇役も多数出ているが、何しろ見せるべきものは、島村の裸しかない。

この愚作に唯一の価値があるとすれば、デートクラブ経営者として三原葉子が出ていることで、これが多分彼女の最後の映画出演作品であるからだ。
日本映画専門チャンネル

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