『死者の書』からファイルーツへ

午後、阿佐ヶ谷のラピュタで川本喜八郎の『死者の書』を見る。
いつものように私のような高齢の男ではなく、女性が多いのには驚く。アニメは女性ファンが多いのだろうか。
今年8月に亡くなった川本喜八郎のアニメ作品は、先週も『道成寺』等の短編を見たが、特に印象に残るものはなかった。
私はアニメが苦手で、その上『死者の書』も人形アニメなのだ。人形も実は苦手で、文楽も面白いと思うが、いつも役への興味を失ってしまい必ずねてしまう。
多分、現実の俳優が演じていないことで、興味を失ってしまうからだ。
今度も、折口信夫原作の当麻寺の曼荼羅の「中将姫伝説」を基にするものだが、半分以上ねてしまった。

バスで渋谷に出て、久しぶりに原田尊人さんのレコード・ショップのエル・スールに行く。
ここは、まだ新しく中古レコードが入っていて、「こんなのあったの」というものが多数ある。
「全国仁義大会」と言うのがあり、ヤクザからキャバレーの女性までの仁義が録音されている。音楽は神津善行である。
「本物なの?」と聞くと
「勿論、やらせですよ。
 ファイルーツの新譜が昨日入りましたよ」と言う。

ファイルーツは、レバノンの女性歌手で、アラブ世界を代表する大歌手である。
ベルベット・ボイスと言われ、ふわふわしたメリスマの強い歌唱は一度聞いたら忘れられず、必ずとりこになってしまう。
世界中で多数のレコード、CDが出ているが、最近は活動が停滞していたようで、久しぶりのCD。

家に戻って聞くと、以前のような大オーケストラを従えての、と言うものではなく、息子のラバハーニのバンドをバックにしたもの。
あえて言えば、ジャズ・ボーカルのようなものであるが、さすがにすごい。
「一度来日コンサートを見たいね」と原田さんとも話したが、今年74歳ではもう無理だろう。
アレサ・フランクリンと並び、世界の大女性歌手で来日しなかった一人に多分なるに違いない。

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