元横浜国大グランドで見た芝居など

脚本家大久保昌一良が死んだ、63歳。
直接に会ったことはないが、彼が関係した芝居は何本か見ている。
1973年秋の『日本沈ポコ・雪やコンコン』、同じく『最終指令自爆せよ』、翌74年夏には『連弾もしくは円舞曲』と言うのを、いずみたくが持っていた劇場のアトリエ・フォンテーヌで見ている。

『日本沈ポコ・雪やコンコン』は、移転して使われなくなっていた横浜国大のグランドにテントを建ててやったもので、元早稲田小劇場の女優高橋美智子の出演が唯一の売りだったが、とてもひどいものだった。
終わっても拍手も何もなく、菅孝行か誰かが出てきて、
「これで終わりです」と言った。
これほど白けた幕切れも見たことがない。

彼の名を知ったのは、多分桜井からで、彼は高校時代は中核系の反戦高協のメンバーで、私は対立する高校生会議だった。
大学に入って、再び会うようになり、相手の党派の悪口を言いあったものだ。
「中核は結局黒田寛一の影響で観念的だ」と批判すると
「マル戦は経済学のみで革命の理論がない」と言い返してきた。
「俺の友人で大久保と言うのがいて、芝居をやっているよ」と聞いたのが始りで、彼の芝居を見に行くことになったのだと思う。
同時代で、しかも比較的同じ立場だろうと思い見に行ったが、どれもあまり感心できなかった。

その後、東映京都撮影所に映画村ができ、その劇場の芝居がテレビで中継されたとき、作者に彼の名前を見た。
「こんなところでやっているのか」と思ったが、その後『水戸黄門』などテレビのシナリオで活躍したようだ。
最近は、彼の名を見なかったが、噂ではその桜井も去年死んだようだ。
ともかく同世代の死は、痛ましい。

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