『山猫理髪店』つづき

そこには、北朝鮮への帰還問題など様々な問題が詰め込まれていた。
別役のいつもの劇で、やたらに相手の言うことへの「難くせつき」の論理が、次第に拡大し、そのやり取りはナンセンスな対話になり、そして人生そのものが無意味であることの証のように見えて来る。
大滝は、妻の奈良岡をいつの間にか家にいる女として、「妻らしいな」と言う。
確かに人間関係は、きわめて曖昧なものであり、本当にそうなのか、証明することが困難なことはいくらでもある。
別役の作品は、物語としては全く面白くないが、ある種不気味さを鋭く見せる劇である。

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