『青春ア・ゴーゴー』

1966年、私が大学に入ったときに公開された日活の青春音楽映画で、当時流行していたエレキ、後のグループ・サウンズを話しに取り入れている。
監督は、当時「森永キャラメル、江崎グリコ」と言われた多作の森永健次郎。
青春音楽映画なので、カラーだと思い込んでいたが、驚くことにモノクロだった。

日活は、こんなものが受けるとは思わず、和田浩冶、山内賢、浜田光夫、太田雅子、そしてジュディ・オングと二流どころで取り合えず作ったのだろう。
多分、受けたらしく、この路線は、スパイダーズ出演の連作になり、中には『夕陽に泣いている』等の名作、またジュディ・オングも、被差別部落をテーマにしたシリアスな作品『帰って来た狼を経て、たまたま来日したジョニー・テイロンッソンのヒット曲の佳作『涙クン、さよなら』等に主演することになる。

話は、大学生の和田、予備校生の浜田、山内、勤労青少年の杉山俊夫と木下雅弘らが、エレキギター・バンドを結成し、女性ボーカルのジュデ・オングを加えて、テレビの勝ち抜き番組で優勝するもの。
その結果、ジュディ・オングは、スパイダーズの歌手にスカウトされ、他の連中は当分アマチュアでバンドをやっていくことになる。
全体にテンポがよく、カメラもよく動き、工夫されていて飽きない。
凡庸な映画の多い森永監督作品では、上等の部類である。

中で、ジュディ・オングが、『リトル・ロビー』を歌う。
この曲は、今月会場のラピュタでよく掛かっていた奇妙な曲で、誰か分からなかったが、メールで聞くと、ジュディ・オングとのことだったが、途中の「勝ち抜き戦」で歌っている。

このバンドの、「ヤング・アンド・フレッシュ」は、実際にも活動していたようだが、戦前から日活には俳優によるバンドの伝統があり、監督の島耕二も俳優時代は、ジャズのサックスを吹き、実演にも出たことがあるとのこと。
その他、浜川智子なども出ているテレビの「エレキは、是か非か」の番組の司会は、三木鶏郎、優勝後のスパイダースとの共演のコンサートの司会は、藤村俊二と珍しい連中も出ていた。
阿佐ヶ谷ラピュタ

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