『独立機関銃隊、未だ射撃中』

1963年の谷口千吉監督作品、昭和20年8月のソ・満国境地帯のトーチカの男たちの話。
公開当時は、かなり話題となった作品である。
男ばかりで、女はソ連の宣伝放送の声の主として出てくるのみ。

国境地帯のトーチカに、現地召集の二等兵の寺田誠が入って来る。
彼に説明する形で、陣形、トーチカ、戦法、銃器の扱い方等を説明する。
シナリオは、井手雅人なので、とても上手くできている。

そこには、歴戦の勇士で、「俺は絶対に球に当らないんだ」と豪語する軍曹の三橋達也以下、農民出身の佐藤允、臆病な堺左千夫、さらにインテリで学徒出陣兵の太刀川洋一らがいる。

勿論、最後はソ連軍のタンク、重火器等の圧倒的な攻撃で、全員死んでしまう。
特に声高に反戦を言うものでも、戦争の悲壮美を歌うものでもない。
極めて日常的であるが、これは実際に従軍した経験のある谷口千吉の実感だと思う。

ただ、よくできたこの映画にも、少々疑問に思うところがあった。
総攻撃の朝、ソ連は投降を呼びかける宣伝放送をする。
勿論、日本人兵士は相手にしない。
そして、放送の後、レコードで『赤トンボ』を流し、日本人の郷愁を誘おうとする。
だが、この『赤トンボ』が、独唱ではなく、管弦楽なのだ。
戦前、戦中の日本の『赤トンボ』で、管弦楽によるものが一般化していただろうか。
当時、流れていた『赤トンボ』は、藤原義江による独唱だと思う。

この辺が、谷口千吉がきちんと撮っていた最後で、その後は撮影中でも、夜のマージャンのことを考えるようになってしまったそうだ。
阿佐ヶ谷ラピュタ

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コメント

  1. INUNEKO より:

    「独立機関銃隊未だ射撃中」(1963)

    終戦間近のソ満国境付近。凄まじい砲撃の中、重機関銃トーチカの五人の守備兵は、次第に追いつめられていく…。充満する男たちの息づかい、悲壮感。トーチカという密室空間で濃密な人間ドラマが繰り広げられる戦争アクション。戦争映画の隠れた名作!(劇場ウェブサイトよ…