SP講談20世紀之大衆芸能 『ご当地歌(北海道・東北)』

岡田則夫さんの解説で聞くSP盤シリーズで、今回は日本全国にある「ご当地ソング特集」で、北海道と東北編。
ご当地ソングのはしりは、中山晋平・野口雨情コンビの『須坂小唄』だそうで、各県に100曲くらいあり、特に花柳界や温泉のあるところに多いそうだ。
今は、誰でもカラオケで歌を歌うのと違い、かつては歌舞音曲はプロである花柳界の芸妓や寄席や大道の芸人のみがやるものだった。
特に、地方では芸者くらいしか歌を唄う人はいなかっただから芸者が歌うのも当然だろう。

藤山一郎・二葉あき子で、山田耕筰作曲の『北海道歌』から、宮城の『石の巻小唄』まで20曲。
県歌、市歌、社歌、工場歌、校歌から音頭まで、山田耕筰、近衛秀麿、万条目正、服部良一、飯田信夫、古関祐而、中山晋平、大村能章など有名作家もずらりと並ぶ。
面白いのは、やはりそれぞれの作曲家の有名曲によく似ているところである。
万条目正作曲の『夢の十勝』は、『愛染桂』の『旅の夜風』そっくりだし、山形の『山形県スポーツ県民歌』は、古関祐而のスポーツ行進曲で、古賀政男の岩手の『盛岡小唄』は、奇妙にアジア的な感じだった。
結局、作曲家も、自分の基調となる響き、曲調を繰り返すものだと言うなのことだろう。

一番傑作だったのは、合津若松の白虎隊のことを唄った藤山一郎の『白虎隊』を、宮城県警察本部刑事部長佐藤寅之助と言う人が歌ったもので、これがすごい訛りなのだ。
昭和29年に製作されたとのことだが、この頃はまだ全国的に方言のアクセントは強く残っていたことを示す証拠である。

日本人は、かくも歌が好きな民族なのか。なにしろ天皇が、和歌の家元として毎年全国コンクールを行う国なのだから。
高円寺円盤

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