『赤ちようちん』

横浜駅西口に大きなツタヤがあるというので、借りてきたのが1974年に一般作品として公開された藤田敏八作品で、主演は勿論秋吉久美子。
かぐや姫のヒット曲を基にしているらしいが、借りたのは題名だけで、脚本は桃井章と中島丈博。
多分、桃井が初稿を書き、それを中島が手を入れたのだろう。
と思うのは、中島作品によくあるホモ・セクシュアルがないからである。

話は、いい加減なナンパで一緒になった秋吉久美子と高岡健二の二人が、都内を引越し、次第に破滅に向かっていくというものである。
この二人の関係は、言ってみれば1970年代の若者の漂流を象徴していて、演劇で言えば唐十郎が状況劇場で描いた都会の男女の、底辺での「地獄巡り」になる。

一般映画なので、二人の他に脇役は、かなり有名な役者が出ていることにあらためて気づいた。
小松方正、長門裕之、南風洋子、悠木千帆、三戸部スエ、河原崎長一郎、横山リエ、さらに陶隆などの珍しい人も。
勿論、日活の庄司三郎、高山千草、市村博らも顔を見せる。

この頃の秋吉久美子は、本当に可愛いくて、演技は上手く、そして十分にご立派な裸体を披露している。
一連の秋吉・藤田三部作では、『妹』が最高と思っていたが、これも悪くない。

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