『麒麟の翼 新残者』

古い映画ばかり見ていると誤解されるといけないので、たまには新作にも行く。
推理物なので、筋書きは詳しく書けないが、意外にもできは良かった。
なんと言っても、主演の阿部寛と新垣結衣の芝居の良さに負っている。
阿部寛は、昔日生劇場で高橋恵子との『近松心中物語』を見て、感心したことがあり、ここでも抑えた演技はさすがだった。
だが、劇場の観客がほとんどそのユーモアを理解できず、笑いが出ないのがきつかった。
『TRIC』なら笑うのに、ここでは笑わないというのは、おかしい気がする。

新垣結衣が、こんなに良い役者だったとは知らなかった。
まだ、対阿部などの年上の役者に向かう時は、ダメだが、自分の同居人で、途中まで犯人とされ、死んでしまう三浦貴大とのシーンなどは、大変実感がこもっていた。

話は、大手金属加工会社の事業本部長の中井貴一が、ナイフで刺されたまま、歩いて日本橋の真ん中で死ぬところから始まる。
そこには、翼のある麒麟の像があった。
自宅は練馬なのに、なぜ日本橋にいたのか、なぜ所持品にネット・カフェの会員券があったのか、日本橋付近の七福神巡りをしていたのは何故か等のサスペンスが次々に出され、宙吊りにされて話は進行してゆく。

最後近くに、一番問題の家の母親で秋山菜津子が出て来る。
阿部、新垣、秋山など、監督土井裕泰の演出は極めて的確だと思う。
少々辻褄が合っていない部分もあるが、全体として出来は大変良いと思う。
上大岡東宝シネマ

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コメント

  1. 土井裕泰監督 「麒麟の翼」

    2012年2月1日、2本目に観たのは東野圭吾原作の加賀恭一郎シリーズ「麒麟の翼」
    原作は東野さんの作品の中でも、私は比較的好きな作品。
    原作のレビューはこちら⇒http://blog.goo.ne.jp/hi-lite2974/e/13c546f947bb566f7ec1a68ebd4114d4
    劇場公開を待ってました…