仁科明子が出てこない!

なぜか分からないが、NHKがBSで加藤泰監督の『宮本武蔵』を放映した。
数多い宮本武蔵ものの中でも、大変面白いものだと思う。
1973年松竹大船、日活を出た高橋英樹と、大映が潰れた田宮二郎による宮本武蔵と佐々木小次郎である。

宮本武蔵と言えば、東映での内田吐夢、中村錦之助の5部作が大きく評価されるが、後半は妙に悟りや宗教的になっていて、そこは不快だった。
加藤作には、全く悟り云々はなく、笠智衆の沢庵和尚のセリフによれば、武蔵は最後まで悟りを得ない人間とされている。
お通は、これも倒産した大映から来た松坂慶子で、東宝の八千草薫に比べれば、純情可憐さには欠ける。
だが、武蔵に拒否されながらずっと武蔵を追いかけるお通は、今から見れば一種のストーカーであり、その意味では適役とも言える。
朱美は倍賞美津子で、朱美と平凡な生活に本当の幸福を見出す又八は、フランキー堺で、これもフランキーによく合っている。
お婆は、加藤作品の常連の任田順好で、東映での浪花千枝子に比べれば、喜劇性は少ないが、迫力がある。

一番見たかったのは、最後の巌流島へ行く直前、下関の商家にいる武蔵に、仁科明子の娘が茶を出しに来るシーンだった。
だが、昨日の放映では、そこはなかった。
ほんの数分であり、筋にはほとんど無関係なので、カットしてしまったのだろう。
だが、昨年の大震災のCFで、日本で一番有名になった仁科亜希子である。
その最盛期の可愛さを見せるのが、テレビ放映の役目の一つだと思うのだが、NHKは一体何を考えているのだろうか。
NHKBSプレミアム

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. 新参者 より:

    仁科明子出てました
    いつもブログ記事を楽しく読ませてもらっています。私も昨晩「宮本武蔵」を見ていました。件の仁科明子の出演シーンですが、田宮次郎扮する佐々木小次郎が、加藤武扮する細川家重臣とその住まいで語らっているシーンで酒を勧める加藤の娘役として登場していました。今は亡くなった役者が大勢出演し懐かしく思いました。

  2. さすらい日乗 より:

    気がつかなかった
    そう、出ていたのか、気がつかなかった。
    最後だと思って、細川家のところは、よく見ていなかった。
    元の時間が、148分と時間的には放映と同じなので、どこで切ったのかと思っていたが。