陀羅尼助丸と薄墨の桜

吉野山に行き、土産として買ったのは、陀羅尼助丸と「薄墨の桜」の香だった。

陀羅尼助丸は、漢方の薬で、関西ではかなり有名なものらしい。
これを買おうと思ったのは、名前が大変面白いのと店頭に木製の大きなガマがあったからだ。
胃腸薬だそうで、私はあまり胃腸が悪くならないので、必要はないが、面白いので買うことにしていろいろ聞く。
ガマは、手足の指が3本というのは、幸福の印の風水から来ているとのこと。
陀羅尼助という不思議な名前は、仏教の陀羅尼経からとのこと。
阿呆陀羅尼経も、ここから来ているのだろうと思いついた

「薄墨の桜」は、お香で道端で売っていたものだが、最近お香に興味があるので、買ってみたのである。
まだ、点けていないが、どういう香りがするのだろうか。

吉野には、歌舞伎の『義経千本桜』にならってだろうか、下千本、中千本、上千本、奥千本と下から上まで桜があるのだが、今回は下千本は、もう終わっていた。
今年は、春先は非常に寒く、全国どこでも桜の開花が遅れた。
だが、4月に入り急に暖かくなったので、一気に咲いたようだ。

先週は、中千本が満開からかなり散っている状態。
本当は奥千本に行けば良かったのだが、そこまでは行けなかったので、蔵王寺と南朝跡地を参拝する。

蔵王寺で目に付いたのは、本堂裏にあった絵馬だった。
額に鉢巻を巻いた日本男児で、まるで川上音次郎のような絵だった。
お坊さんに聞くと、「楠木正成ですよ」
ああそうだ、南朝を支えたのは、楠木らの奈良や大阪河内の武士で、言って見れば河内の群盗のような連中だったのだ。

渡辺保さんの本によれば、当初文楽の『義経千本桜』には、桜はなかったのだが、その後いつの間にか満開の桜の下で四段目の『道行』をするようになったのだそうだ。
日本人の桜好きということの証なのだろう。

吉野をはじめ関西の桜は、関東のソメイヨシノとは違い、花びらが小ぶりな丸型であり、裏の葉っぱが既に咲いていて、その桃色の葉が白い花びらと混ざり、遠くから見るとピンクに見える。
ソメイヨシノのぼってり重々しいとした花びらに比べ極めて簡素で、これが本来の桜なのだろうと思った。

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