『麻雀放浪記』

自慢ではないが、麻雀ができない。
やったことは二度ある。
中学のとき、親戚の家でと、友人たちとであるが、どちらもちろん金は賭けず、覚える気もなく適当にやっていただけ。
大学に入ると劇団には、プロのごとき、素人をカモにして、その金で生きていると言った連中ばかりだったので、怖くてやらず仕舞いになって、現在に至っている。
阿佐田哲也の小説も、はじめは敬遠していたが、麻雀の牌活字を適当に読んでいても、話は理解できるので、最後まで一気に読んだ。

映画は、メモを見ると、公開から少し遅れ、1985年1月に、伊勢佐木町の東映で、『Wの悲劇』との二本立てで見ている。
当時は、角川映画も全盛時代だった。

とても面白かったと記憶しているが、今朝CSでやっているので、最後まで見てしまった。
やはり、面白い。
何より素晴らしいのは、登場人物が生き生きとし、みな張り切って演じていることである。
この作品に主要人物で善人は、一人も出てこない。
どこかおかしな悪い連中ばかりである。
だが、その生き方は実に悲しく、美しい。
その象徴が、言うまでもなく出目徳の高品格だが、彼でさえ、最後に死んだ時には、坊やの真田広之によって土手の上から足蹴にされて落ち、水溜りに頭から突っ込むのである。
このアクションは、高品格の面目躍如である。

しかし、真田広之、鹿賀丈史、加藤健一の3人は、また麻雀をするのである。
「分かっちゃいるけど止められない」の人間の馬鹿さ加減。
敗戦直後の町を再現した美術もスゴイが、なにより役者が喜んで演じているのが良い。
日本映画専門チャンネル

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