新藤兼人氏、死去

監督で脚本家の新藤兼人氏が亡くなられた、100歳。
新藤兼人が、日本映画史に残る偉大な脚本家であることは間違いない。
だが、監督としてはどうかと言えば、私は多少の疑問を持っている。
その監督作品の多くが、あまり面白くないからである。
真面目すぎて、堅苦しく、遊びや面白みがないからである。
勿論、新藤氏の真面目さが、直接に出てしまうからである。
彼が、監督した作品の中では、最初の作品の映画『愛妻物語』、日活で作った『銀心中』、あるいはATGでの『心』などが良かったと思う。
どれも、表現があまり強烈ではなく、全体に比較的淡々と作られているからである。

1960年代の中盤以降、松竹で公開された近代映画協会で作った『鬼婆』『本能』等は、ほとんど芸術エロと言うべきで、その点では大変な商売人であり、近代映画協会という零細企業をきちんと経営されたことも大いに評価に値すると思うが。

日本映画史上に残る名作を作られた映画人のご冥福をお祈りする。

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