『笑う浪花節VS泣く浪花節』

日本浪曲協会の企画公演で、面白いものがあると眺花亭の渡辺信夫さんからご案内を頂いたので、浅草木馬亭に行く。
ここに来るのは、1987年に故朝倉喬司さんの企画で行われた河内音頭の河内屋菊水丸と父親の菊水の親子会以来である。
当時は、浅草が一番寂れていた頃で、現在の奥山付近の賑わいには驚き、場所がよくわからず、本屋のおばさんに聞いてしまった。
時節柄、外人観光客、特に中国、香港、台湾の人が多いようだ。
もちろん、良いことである。

さて、浪花節なんて古臭いというかもしれないが、私はかなり好きである。
日本の芸能史的に見ても、幕末、明治、大正、昭和初期まで、浪花節、浪曲は庶の最大の芸能であり、日本のレコード産業の基礎を作ったのも、桃中軒雲右衛門らの浪花節のSPレコードだった。

今回は、日本浪曲教会の主催で、笑い組と泣き組に分かれての対戦で、双方のリーダーは玉川奈々福と国本武春。
国本は、昨年国立劇場で「節劇」をやるというので見に行くと急病で倒れ、奈々福が代役でやった。
その他、笑い組は、港家小柳、協会会長の澤孝子、泣き組は、国本の他、天妻ひづる、富士琴美。
中で、最高だったのは、『水戸黄門漫遊記・尼崎の巻き』をやった港家小龍で、かなりのご高齢で、大変小さなおばあさんだが、実に迫力のある渋い声で場内を圧倒した。
俗に浪花節は、「1声、2節、3タンカ」というが、まさに素晴らしい声だった。
玉川奈々福は、『浪曲シンデレレラ』で笑わせ、天津ひづるは、『瞼の母』で泣かせた。
トリは、国本武春の『佐倉義民伝・甚兵衛渡し』、大トリは澤孝子の『左甚五郎・竹の水仙』で、共に素晴らしい熱演だった。

公演の後、渡辺信夫さんと、今週の6月15日に渡辺さんの私設図書館「眺花亭」で行うイベントについて、近くの店で飲みながら打合せし、当日来てくれる方にお渡しする資料についても説明する。

黒澤明の自己処罰意識が大変強く出た『静かなる決闘』のビデオを見て、感想を語る『黒澤映画を考える』です。
お時間のある方は、墨田区千歳の蝶花亭にどうぞお出でください。

墨田区千歳1-1-6 両国マンション500号室
090-1213-9804
http://machimegu.jp/spots/564

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