演劇好き一家


以前、母について書いた時にも触れたが、私の父は、小学校の校長だったが、芝居が大変好きだった。
六代目尾上菊五郎の脇役で活躍した尾上松助が大の贔屓で、SPレコードも持っていた。他に、市川左団次や前進座の河原崎長十郎なども好きだったようだ。
母も歌舞伎が好きで、晩年は歌舞伎座の株を持ち、毎月優待券で行っていたようだ。
母の死後、その株を相続した長女は、家族で一番の歌舞伎好きで、六代目菊五郎を見たと言うのだからすごい。昭和24年に死んでいるので、見たのは高校生だろう。先々代の海老蔵(現団十郎の父)が贔屓だったが、今は誰を贔屓にしているかは知らない。
次女は、新劇が好きで、俳優座後援会の会員だった。私も連れられて、俳優座後援会の運動会に行ったことがある。お台場で行われ、竹芝から船で行ったと思う。運動会、潮干狩り等をした記憶があり、岩崎加根子がきれいだった。
長男は、演劇というより映画で、ある伝手から松竹大船撮影所の音楽家の個人的なアルバイトをしていた。小津安二郎監督の作品の打ち上げが中華街で行われ、そこに写っている写真がある。アルバイトまで入れて打ち上げをしていたなど、昔の日本映画界は本当に金があったのだと驚く。
一番下の姉も、結婚前は新劇をかなり見ていたようだ。今は、海老名市にいるので、そこに回って来る劇をよく見ているらしい。
私は、高校、大学と演劇をやり、卒業後も自分たちで劇団を作って数年間やった。
俗に、「芝居となんとかは一度やったらやめられない」というが、全くそのとおりで、芝居はやるのも、見るのも実に楽しいいものである。

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