朝日新聞の劇評『ドレッサー』

朝日新聞の劇評は、扇田昭彦や渡辺保さんが担当していた昔は、極めてレベルが高かったが、今は随分と下がってきたようだ。先日、パルコの『ドレッサー』の批評が載っていたが、絶賛していたので、びっくりした。
私には、近年見たものの中で一番ひどいものの一つだった。

恐らく、筆者の山本健一氏は、以前三国連太郎、加藤健一、渡辺えり子らでやったのを見ていないのだろう。イギリス人演出家(ドナルド・エアー)のそれは、今考えれば流石の出来で、とても面白かった。もともと、ロナルド・ハーウッドの脚本はとても良く出来ているのだから、普通にやればそれだけで面白い劇になるはずなのだ。
公平に見て、松田美由紀の演技などは、批評以下、金を返してもらう水準だった。西村雅彦の演技も気の抜けた感じで、中身のない薄い芝居だった。
なにより当日、観客にほとんど受けていなかったのだから、出来はよくなかったのだ。それを絶賛するとは、選挙予測のみならず、今の新聞の批評は全くあてにならないと言うべきである。
新聞の言うことなんか信じてはいけないという大きな教訓を得た。

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