『マリリンに会いたい』

1988年、まさにバブル全盛時代に向かうときの作品である。

沖縄の小島で、メス犬のマリリンに一目惚れしたオス犬シロが、数キロもある海を犬かきで泳いで渡ったという実話を基にした、犬利用のジャリ掬い映画。

それに東京での生活を諦めて島に戻ってきた不器用な男加藤昌也と、カメラマンの卵で島の自然を撮ろうとする安田成実の恋が絡む。

しかし、犬の演技に叶うわけもなく、畜生の性欲に勝てる人間の芝居は存在しないことがよくわかる。

だが、不思議なのは、人類と違い動物は、それぞれ発情期が決まっているので、これのようにのべつ幕なしにマリリンに向かい海を泳ぐものだろうか。

動物は人間とは異なり、もっと慎み深いものなのではないだろうか。

唯一の良さは、加藤の兄で、軽薄でいい加減な男を演じる三浦友和の演技であり、カメラの鈴木達夫の画面の美しさだろう。

しかし、犬と沖縄の美しい自然を売り物にするとは、バブル直前の時代とはいえ、商売気が過ぎるのではないか。

衛星劇場

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