戦時中にアメリカ映画を見ていた東宝のスタッフ

先日、東宝の航空教育資料製作所の資料を探しに日大芸術学部に行った。

とても立派なのに驚いた。

学生時代にアルバイトで江古田に来た時は、こんなに立派なものではなかったと思う。

さて、東宝に戦前から録音技師としていられた藤好昌生さんの「日誌」を見せていただくと、東宝の砧撮影所ではアメリカ映画の試写をしている。

昭和19年の前半だけでも以下のとおりである。

3月31日 コロンビア映画 「Amy Serenade」 

4月15日 ルビッチ作品(題名の記述なし)  黒澤明作品『一番美しく』

4月18日 RKO映画 『ガンガディン』

6月14日 20世紀FOX映画 『青い鳥』

9月2日 『ファンタジア』

この年の9月6日に藤好さんが徴兵されたので、日誌はここで終わっている。

それにしても不思議なのは、戦時中にアメリカ映画の新作が日本国内に入って来ていたことである。

『黒澤明の十字架』では、昭和18年に日活の撮影所で美術の木村威夫さんが秘密の試写で『風と共に去りぬ』を見て驚嘆したことを書いた。

このように映画界の中では、戦時中でも欧米の映画が見られていたこともあったようだ。

不思議なのは、一体どのようなルートで輸入されていたのかということである。

まだ、中国大陸との間の航路はあったので、中国の上海等で公開されていたものが、日本にまで輸入されていたのだろうか。

昭和16年12月8日の開戦で、日米のすべての通商は途絶したとされているが、実際はそうでもなかったようだ。

事実は、調べて見ないとよくわからないものである。

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