やはり無理な超音波殺人

日曜日に入院して、昨日尿道結石の破砕手術を受けてきた。

破砕は、超音波を石に当てて壊すというもので、1分間に約100発、1時間で5、000発の超音波を受けてきた。

大型のX線照射装置のような円筒形の首が伸びている台の上に仰向けに座り、下半身は裸になる。もちろん、上にタオルをかけるが。

そして、いろいろいと円筒形のものを動かしていた後、

「準備終わりましたので、始めますから」と先生。

スピ-カーから音楽が流れているので、

「きゃりいぱみゅぱむでしょうか」と聞くと

「そう?」と看護婦さんに聞き、「ラジオですよ」と答えてくれた。

ラジオなら、「インターFMにしてください」と言おうかと思ったが変な奴と思われて、この後に嫌がらせをされると困るので、口にせず。

平日の朝はいつも、インターFMの「バラカン・モーニング」を聞いている。

FMヨコハマらしく、軽薄な男のDJだが、別にどうでもいい。

その内に、円筒からの音が聞こえてくる。

ズーン、ズーンと言おうか、重金属を静かにハンマーでたたいているような音である。

その内、腰の皮とすぐ内の肉に反射しているのがわかる。

1時間弱で終わり、X線撮影をして病室へ戻り、蔵原惟繕の傑作『憎いあンちくしょう』をBSやっているので見る。

いつ見ても大傑作だと思うが、裕次郎・ルリ子の通常の番線作品として製作・公開されたのがすごい。

当時の日活の力である。

夕方、先生がX線写真も持って病室に来てくれる。

「割れてはいませんが、膨らんでいるので、ひびは入ったのかな。要は砂の塊なので、水が入ればその内割れて落ちてくるかもしれないなあ」とのご説明。

割れなければ、もう1回くらいやっても良い。少なくとも内視鏡を下から入れての手術よりは、はるかに良いと思う。

これで思い出したのが、松本清張の小説『砂の器』  

この中で、主人公の作曲家は、超高音の電子音で殺人を行う。

この超音波で殺人を行うのは、前衛作曲家で、どうやら黛敏郎らしいが、野村芳太郎監督の松竹映画では古典的な曲を作る作曲家に代えられている。

「こんな殺人はあり得ない」と前にも書いたがあるが、今回の手術で、全くのウソではないこともわかった。

なぜなら、超音波手術では、担当医師からの指示で他の臓器を傷つける恐れがあるので、バイアスピリンの服薬が止められた。

これは、他の臓器を傷つけ、出血した時、バイアスピリンを服薬していると出血が止まらなくなる場合があるからで、超音波で人間の臓器を攻撃することは可能なのだ。

だが、高電圧で大規模な機械を必要とするので、到底一個人が超音波を作りだして殺人攻撃をすることは不可能だろう。

機械の値段を聞くと、「古いけどドイツ製なので数千万円でしょう」とのこと。

やはり、松本清張の『砂の器』の超音波殺人は「とんでも」なのである。

電磁波攻撃ならありえて、それはオウム真理教がやったことでもあり、可能だが。

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