『夫婦善哉』終わり

NHK大阪の『夫婦善哉』が終わったが、最終回の4回目は、二人が大阪から別府に行き、化粧品店を始めて小成功をする話。

これは、元の小説にはなかったが、近年発見され、刊行もされた『続・夫婦善哉』によるもの。

大阪から離れて別府で商売をやるというのが面白い。

別府は、当時関西からの航路も開かれ、また九州なので、当時の国際都市上海からも近く、内外の観光客が多く来て、繁栄したようだ。

だが、別府を舞台にしたドラマをあまり見たことがないのは、ここはやはり関西の人間の「奥座敷」的観光地であり、東京の人間には無縁だったからだろうか。

観光、温泉地なので、化粧品の売れ行きはよく、一時は儲かるが、直に日中戦争の開始で、不況になってしまう。

軍人関係の歓楽地は、むしろ繁栄したはずだが、それには該当していなかったのだろうか。

最後、二人が大阪の法善寺で、善哉を食べ、有名な「なぜ二杯に盛ってあるか」の問答になる。

それはどうでも良いが、二人が善哉を食べる時に、指に箸を挟んで、「いただきます」と頭を下げる近年流行っている不思議な動作をする。

これは、1990年代頃までの、少なくとも首都圏では見られなかった仕草である。

私がこれを最初に見たのは、1991年頃、パシフィコ横浜に二度目の出向をしていた時、串本育ちの女性が、ホテルの社員用食堂でしたものだった。

だから、関西が舞台とは言え、戦前の映画でこれをするのは非常におかしいのであると思う。

豊田四郎監督の名作映画でも、この動作はなかったはずで、それが東京の常識だったことは間違いない。

一体、あの変な「礼儀」のごとき仕草は、いつ、誰が、いつ頃始めたのだろうか、ご存知の方がおられたら是非教えていただきたい。

NHK大阪

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