『女優と詩人』

昨日に続き、フィルムセンターで東宝の復刻特集、『女優と詩人』

監督は成瀬巳喜男で、主演女優は千葉佐智子と宇留木浩で、舞台女優と売れない詩人夫婦、その他近所の連中を描く他愛のない話で、ドラマ性は低い。

千葉・宇留木の貧乏世帯に居候してくるのは藤原釜足、隣の夫婦は三遊亭金馬と戸田春子。金馬は、生命保険屋で、戸田は世話焼の叔母さん役。

戸田は、古い女優で、戦後東宝スト後は、東映や左翼独立プロ作品でも活躍した。

千葉の出る芝居の台詞と現実が重なるなど、不思議な作品だが、成瀬にしては、非常に軽い映画になっている。トーキーの練習みたいなものだろうか。

宇留木浩は、女優の細川ちか子の兄で、山本嘉次郎の仲間で各社を動いたようだが、33歳で若死にしたので、作品は多くない。

音楽は、伊藤昇で、既成の曲を上手く使っている。

ロケで出てくる電車は、恐らく小田急線だろうが、たった1両編成である。この頃は、そんなものだったのだろうか。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする