手本引きの元は、香道の札打ち(ふだうち)だろう

毎月に1回、横浜の朝日カルチャーセンターで、香道を習っている。

今回は、久しぶりに「札打ち」をやった。7種香で、1,2、3とまず三種のお香をきき、それを覚える。

そして、それぞれのお香が2回づつ、さらに最初に記憶したのではない、覚えていない別のお香が混ぜられて出てくる。

そして、そのお香がどれかを当てるもの。

普通は、答えは生紙(きがみ)という和紙に最後に書くのだが、札打は、お香をきいた直後に、番号の札を入れる。

つまり、その場で勘で「これだ」と決めてやるしかないのである。

しかも、その札は、二つに折った袱紗の中に隠して置いて、他人には見えないように回ってきた紙箱に入れるのだ。

札の裏は、それぞれの人にあてられた絵柄が書かれているので、誰が入れたのかわかるようになっていて、この日私は菖蒲であったように、花札の絵柄になっている。

ここまで書くと、この香道の「札打ち」は、1960年代後半以降にヤクザ映画でやたらに見せられた花札賭博の「手本引き」によく似ていることに気づくだろう。

手本引きを最初に我々が見たのは、篠田正浩の『乾いた花』で、この映画のタイトルで手本引きの様子が描がかれている。

勿論、映画のスタッフは誰も知らなかったので、撮影現場には、本当の博打打ちに来てもらって教えてもらったそうだ。

この後、東映でも見られ、大映では江波杏子が『女賭博師』シリーズの「入ります」の名台詞で延々と演じることになる。

香道は、平安時代の頃からあり、室町時代には、掛け香の禁止令が出たくらいの非常に古いものなのだそうだ。

多分、ここから花札賭博の手本引きが生まれたのだと私は思う。

この日の成績は、三つ当たりだった。最高が四つだったのだから、まあまあの成績だった。

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