『女の手配士・池袋の夜』

1969年、日活で作られた青江三奈のヒット曲だが、製作の児井英生の本によればレコードが発売される前に彼が企画し、ほぼ公開と同時にヒットされたとのこと。
監督は武田一成で、彼は『ジャックの刺青』などのニューアクション作品もあるが、ポルノ以後も日活にいて『女の四畳半シリーズ』はかなり面白いものだった。
話は、小林旭の「女の警察シリーズ」の変形で、和田浩司が池袋のバーのバーテンで、実は女の斡旋、つまりポン引きを副業にしている男。
彼は、池袋の女親分のような奈良あけみの紹介で、大人の玩具屋の親父桑山正一と知り合い、彼はポン引きの大家だった。
桑山は言う、
「夜の女にスカウトできるのは、一デパ、二カン、三ビヨウ」
これは、贅沢品に囲まれているデパート職員、男の体を日々見ている看護婦、逆に男けのない美容院の女性が、それぞれ落としやすいというのだ。
脚本は、下飯坂菊馬で、彼は風俗映画に強いので、かなりの取材から書いたのだろう、脚本はとてもよくできている。
最後の方で、和田浩司と、日本赤線復活連盟会長の鈴木やすしは、女性の裸が満載の部屋を作り、客の谷村昌彦らを狂喜させるが、この辺のシーンは幻想的に作られていて面白い。
また、何度もヌード姿の女優が出てくるが、タイトルに火線グループとあったが、ピンク映画の火線プロダクションのことだろう。
この映画はかなりヒットしたそうだが、その原因は多数のヌードシーンゆえに違いない。
その意味では、これも日活ロマンポルノの先駆けの一つである。
最後、桑山の娘の集三枝子を和田がものにしてしまい、ショックで桑山は倒れて死んでしまう。
桑山正一は、さえない親父が専門だったが、大変な艶福家で、若い女の家で死んだと聞いたことがある。
集三枝子も、『野良猫ロック・シリーズ』では、スケ番的だったが、ここでは普通の女性を演じていて意外だった。

チャンネルNECO

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