濱田高志『作曲家・宇野誠一郎の世界』

どこから来たかは憶えていないが、宇野誠一郎の講座が開かれると言うので、お茶の水のエスパス・ビブリオに行く。
ここは書店とカフェ、イベントスペースが一緒になったところで、非常にきれいでまだ新しいようだ。

2011年に亡くなられた宇野さんは、『ムーミン』や『ひよっこりひょうたん島』で有名だが、近年は「こまつ座」での音楽だけだった。


理由は、1970年代以降のテレビ界の音楽作りのあり方に疑問を抱くようになったからだそうだ。
彼の経歴の最初に自由舞台とあるのは、後に鈴木忠志らが出た早稲田の学生劇団自由舞台のことで、この辺が宇野さんの創作の原点なのだろう。
濱田さんからは、宇野さんは、プロの歌手の歌よりも、歌では素人の声優の歌の方が好きで、彼らが正しい音程で歌うための矯正には徹夜で付き合ったとのこと。
まさにアマチュア的な手作りの創作がお好きだったということだろう。

貴重な音源が多数披露されたが、中では1971年の「日本ギターフェステイバル」での『エルゴノミックス』が興味深かった。
一種のプロ・グレだが、壮大な交響曲風の作品で、本当はこういうものを作りたかったのかと思った。

封印作品『ムーミン』も上映されたが、『ムーミン』が封印されたのは、作者のトーべ・ヤンソンが、ムーミン等の絵に不満だったからだそうで、著作者人格権の問題なので、どうにもならない。
ここでは来月に、和田誠の短編映画も上映されるそうで見に来ることにしよう。
濱田さんの貴重音源の探索に掛ける熱意には大変に感動した。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする