『60年目の東京物語』

橋田寿賀子脚本のNHkの大作ドラマ『ハルとナツ』が盗作したのではないか、と言われているブラジル在のドキュメンタリー作家岡村淳氏の作品である。
東京MXテレビ用に作られたドキュメンタリー。
政府の在外日系人訪日事業で、60年前にブラジルに移民した東京出身の80歳の森下妙子さんが、60年前別れた姉一枝さんを訪ねて日本にやって来る。
姉に会いに鬼怒川、出稼ぎに来ている実の娘の富山に、さらに60年前に生き別れた養母の跡を訪ねて久留米、会津に行く。

結論から言えば、盗作問題をこえて、この岡村氏の作品の方がはるかに面白い。
事実の意外さ、面白さ。平凡で無名の人物のドラマの起伏。
主人公・森下妙子さんのキャラクターの愉快さ、元気さなど、すべて魅力が岡村氏のビデオ作品の方が上である。

盗作問題に関して言えば、相当参考にした、それも極めて稚拙に消化したことは多分事実だろう。
NHKももっと上手にドラマができていれば、これほどまでに岡村氏に対して対立的にはなっていないだろう。
劇の出来がよければ、「何を言っているのだ、参考にはしたが、こっちは別にきちんと作った」と言い返せるのだから。言い返せないところは、やましいのだろう。

森下さんは今も90歳で元気にブラジルで生活されているそうである。
NHKのような大メディアが、無名の平凡な人物を描くことはいかに無理か良く分った。

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