ドナルド・リチー作品集

2013年2月に亡くなったドナルド・リチー作品4本、「熱海ブルース」「Life」「のぞき物語」「五つの哲学的物語」

自主映画アングラ映画は、作者個人の思いに強く結びついているので、作品の意図、意味はよく分からないことが多い。
1962年の「熱海ブルース」は、その典型で、若い男女が、熱海に行き、風呂に入り、散歩し、どうやらセックスしたらしいことだけの話であり、どういう意味があるのかわからない。
あえて言えば、出てくる二人の男女の顔や肉体を映像として保存したかったのかといことになろう。

最後の「五つの哲学的物語」が一番筋があり、言うことも明確である。
男3人と一人の女性で、まず埋立地(1967年と遠景の施設から見て大黒か本牧だと思うが)に来て、いろいろ動くが、最後男の一人が白い大きな袋に入ってしまい姿を隠す。
次に4人が公演にピクニックに来て、一人の男が横たわると、腹にナイフを立てて肉を切る。
3人が人肉を食べ、最後は壮大に腸が出てくる。勿論、手品を使っているのだろうが、少々ショックであり、また笑ってしまう。
最後は、骸骨が横たわっている。
逆立ちして腕で歩いている男がいて、銀座、日比谷、日比谷公園などに行き、ベンチに座るとホモみたいな男が来る。
そして、その男も逆立ちに何度も挑戦して、最後はできるようになり、二人は逆立ちで晴海通りを歩くが、ホモ男はパンツがめくれて卑猥な感じになる。
次は、外人の野外パーティーがあり、そこに小柄な背広ネクタイ姿の日本人男が来て、外人の望むままにネクタイ、背広を脱ぎ、最後は裸になってしまう。
もちろん、後姿だが、その裸で町を堂々と歩き、線路を越え、公園を横切って最初の埋立地に来る。
そこで袋の中から男を救い出してあげるというものである。
多分、何かに捕らわれている日本人の救出を意図しているのだろうが、そううまく表現されているとは思えない。
この男、さらに逆立ちして歩いていたのは、その道で有名な矢頭保と言う人だろうか、すでに亡くなられているようだが。
多分、詳細はドナルド・リチー氏ご本人に聞くしか、多くの意味は分からない。
川崎市民ミュージアム

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