ラピュタで8本

8時前に自宅を出て10時過ぎにラピュタに着くと50番目で、大混雑。
なんとか椅子に座れて午前中は、「戦前日本SF映画回顧」の、『モダン怪談100,000,000円』『石川五右衛門の法事』など6本を見る。
大半が5分程度の断片だったので、6本も見られたのである。

全部サイレントだったが、最後の『争闘阿修羅街』だけは、山城秀之さんの説明がつく。

日本の鳥人・ハヤブサ・ヒデトの主演作で、監督も彼自身で、相手役の大河百代は、当時16歳で桜田淳子に似た大変な美人だったが、2年後に亡くなられたそうだ。
話は、きわめて単純なもので、新型飛行機の設計図をめぐる追っかけで、最後ハヤブサがビルからビルに飛び乗るのが最大の見世物。
ビルとビルの間をワイヤーで行くなど、なぜワイヤーが張ってあったのなどと聞いてはいけない映画である。
意外にも画面がきれいで驚く。
山城さんの活弁も良かった。サイレントは必ず活弁付きでないとないとまずいと思う。

午後はまず『続・拝啓天皇陛下様』

渥美清主演でヒットした前作の続編、極貧に生れて陸軍に入隊し、軍隊を天国と思った男の戦中、戦後の話。
丸山真男らインテリには地獄だった大日本帝国陸軍内務班だが、下層の庶民にとっては一種の「平等社会」で、天国だったことを描くもので、それなりの実感があったと思う。
今回は軍用犬の訓練担当になるが、元の飼い主が京都の上流婦人の久我義子で、シベリア抑留中の夫佐田啓二の不在中の戦後、何かと世話をする。
『無法松の一生』であり、叶わぬ恋の典型だが、これが後に渥美の大ヒット映画『男はつらいよ』になることになる。
彼の友人の一人が中国人夫妻の小沢昭一と南田洋子で、これも面白い。
前作では、長門裕之と左幸子だった。
最後、同じく天涯孤独の少女宮城まり子と結ばれ、娘が生まれるが、宮城は死んでしまい、渥美が子と残されるところでエンド・マーク。

戦後、闇市のマーケットで知合う黒人兵は、誰かと思うと阪急の選手のロベルト・バルボンだった。
今年は、横浜のグリエルなどキューバ人選手が日本のプロ野球に来たが、遥か昔の1950年代からいたのがバルボン、愛称チコで、3回盗塁王になっている。
まだご健在で関西で活躍しているようだ。
その次は、昨日書いた『晴子の応援団長』

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