『十代の性典』

随分と沢山の映画を見てきたが、これほど羊頭狗肉の作品もないと思う。
いわゆる「性典映画」の始まりで、性的なシーンが続出するのかと思うとほとんどなく、簡単に言えば結婚までは処女を守りましょうという純潔教育映画なのである。

高校2年生の若尾文子と南田洋子が主人公にされているが、内容的には若尾が恋焦がれている「お姉さま」の沢村晶子が中心である。

彼女は、高校三年生で、教会の牧師千田是也の娘だが、経緯は不明だが以前男に襲われたことがあり、彼女が森で倒れてスカートが捲れ、パンツが見えるところが唯一の見所。
さらに彼女が長谷部と抱擁しそうになるとき、胸の膨らみがアップされるとことぐらいである。
続編には、若尾文子が、下着姿で鉄条網をくぐるというシーンがあるそうだが。

沢村は、大学生の長谷部健と付き合っているが、自分の体は汚れているという意識があるので、なかなか打ち解けられない。
若尾の家は、裕福だが、南田の家は極貧で、工場の工員東野英治郎は失業に近いという状況。
南田は、生理の時(あのときと言っている)に変調を来すらしく、教室で若尾の財布を盗んだり、街で落ちていた財布をネコババしたりする。
東野から「家の子じゃない」と言われ、ついには学校を中退して、中学時代の同級生で魚屋の小田切みきの紹介でオデンやで働くことになる。

沢村は、長谷部ら大学生に誘われて蓼科の池にスケートに行く。
そこで、彼女はセーターを脱いだ時に、長谷部に抱かれそうになり、急に恐ろしくなって小屋を出て外に逃げる。
そして、湖に身を投げて死んでしまう。

最後、彼女の日記ですべてを知った千田是也は、その日記を若尾に託して祭壇で祈る。
ラストシーンは、教室で教師が純潔を説いているところで終わる。

これが大ヒットしたとは信じがたいが、客観的に考えれば、2年後の「太陽族映画」を準備したことは間違いない。
横浜市中央図書館AVコーナー

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