「維新派はこんなことをやっていたの」  『足之裏から冥王まで』 

維新派と言っても、橋下徹の日本維新の党ではなく、劇団日本維新の会である。

大阪が拠点の劇団、舞踏グループなので、首都圏での公演は少なく、私は2回しか見たことはない。

汐留再開発の時のイベント東京パーンでの『少年街』と新国立劇場での公演だったが、この1979年に天王寺の野外音楽堂で行われたものとはかなり違う。

彼らの公演を井筒和幸が撮影して監督したもので、東京でも上映されたことがあるらしい。

                                            

まず、鎧姿の武士が詩吟のような文句を唸っている、次に『ペルシャの市場にて』に合わせて、土の穴から裸の男たちが出てきて、芋虫のようにうごめく。

猿のマネのような動きなどの後、いきなり『イヨマンテの夜』が響く。伊藤久男の歌唱である。

突然、『仁義なき戦い』の親分の金子信夫を「あんたはただの神輿じゃないの」という松方弘樹の台詞が流され、穴から背広の男が出てくる。

どうやら作・演出の松本雄吉のようだが、ガムテープで巻かれてしまう。

すると、大阪のヌードショーの映像が挿入され、それが『与作』に変わると、裸の女性と裸の男が性交する。

その後ろでは、普通の洋服を着た男が一升瓶をラッパ飲みしている。

女性は、この公演ではただ一人の女性で、他の約10人はすべて男である。

「ああ、これだったのか、これが売り物だったのか」と思う。

その性器部分は、色塗りで隠されいるので、一応性交していたのだろう。

こうしたことは、首都圏ではやっていなかった。

ラッパ飲みしていた男たちが、飲んだものを全部吐いてしまい、ここは唯一笑い声が上がる。

最後は、『蛍の光』の大音響と共に、天空から吊らされた男が上下する。

翌日の昼間になり、猿の動きをして音楽堂から男たちが扉から出て終わる。隣の動物園に行ったのだろうか。

いったい、どこが足之裏で、冥王なのかと思うが、要は地球と宇宙のすべてなのだろう。

製作が池内琢麿になっていたが、彼はクロード・ガニヨンのATGでの1979年の名作『KEIKO』に出ていた男優である。

フィルムセンター

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