昭和29年は面白い

神奈川県立図書館開館50周年でも書いたが、昭和29年というのは、大変興味深い年である。テレビ放送が開始され、日活が映画制作を再開し、『ゴジラ』が公開され、日本映画界は最絶頂期を迎えていた。この年、大島渚、山田洋次らが松竹大船の助監督になる。

前年28年から29年にかけて公開され大ヒットになったのが、『君の名は』である。
『君の名は』の最初の東京大空襲のシーンはすごい。私たちのように空襲を全く体験のない者でも感動する名シーンである。特撮は、当時はまだ公には活動できなかった円谷英二が担当。
翌29年彼は、東宝で『ゴジラ』を作る。

『ゴジラ』を見ていたら、撮影が玉井正夫なのに驚いた。
成瀬巳喜男の『浮雲』等のカメラマンである。活劇映画を撮る一方で、地味な成瀬映画をやっていたのだから、昔のスタッフは幅が広い。もっとも、成瀬映画は極めてカット割りが細かく、一種のアクション映画なのだから、当然とも言えるが。
日本を代表する石井輝男が成瀬の弟子で、成瀬映画に心酔していたというのも頷ける。

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