桜井長一郎の「十八番」がわかった 『水戸黄門・天下の副将軍』

桜井長一郎と言えば、1960年代の声帯模写の第一人者で、いろいろな人の真似をやったが、田中角栄のものなどは、彼が最初だったと思う。

その桜井の「十八番」に「将監、悔悛の情なきか」という月形龍之介の物まねがあり、これは何か、と思っていたが、昨日見て分かった。

                                       

月形龍之介主演で、12作目だという『水戸黄門・天下の副将軍』で、最後に高松藩の悪家老の山形勲に対して月形が言う台詞なのだ。

助さんは、東千世之介、格さんは里見浩太郎、その他、藩の重役で進藤英太郎、その娘で藩主中村錦之助の腰元に美空ひばりとオール・スーター映画。

丘さとみも出てきて、島田宿の女郎だが、実は山形が江戸で産ませた子であることも最後に分かるなど、非常によくできた話で、当時日本で一番報酬が高いと言われた小国英雄で、監督は松田定次である。

ともかく賑やかに予定調和に劇が進行していくのが快い。よく考えると、これは歌舞伎であることが良くわかる。

日本の娯楽劇は、基本的に歌舞伎の勧善懲悪なのであり、筋書などの細かいことを云々するのは愚の骨頂なのである。

それにしても、水戸黄門役の月形龍之介は、貫録があり、実に言い役者だなと思う。

フィルムセンター

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